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TOHOHO日記
天使にラブソングを…2のモデルが日本に!日本の復興を祈る、美しく力強いゴスペルを堪能しよう
2011.10.13
「ほ」カプチーノの表紙がかわいいカフェ特集のHO、
みなさんご覧いただいていますでしょうか?
(ちなみに、札幌の丸美珈琲店さんのご協力で、今回の表紙ができました。
この場をかりて感謝申し上げます)

さてさて、
今号のプレゼントコーナーで「チャリティーゴスペルコンサート」のお知らせを
小さく掲載していますが、実はこれ、結構すごいイベントなんです。
日本にゴスペルブームを巻き起こした『天使にラブソングを…』という
大ヒット映画を、ご覧になったみなさんも多いと思います。
ウーピー・ゴールドバーグ演じるシスターが、ドタバタの騒動を起こしながらも
周囲の人たちを歌で幸せにしていくという、ハッピーで楽しいコメディーです。
1992年の1作目が人気を博し、翌年続編が作られました。
『…2』ではスラム街の荒んだ学校を舞台に、シスターがゴスペルを通じて
生徒たちに、生きる喜びと希望を与えていくという感動のストーリーでした。
生徒役でローリン・ヒルが出演して、美しい歌声を披露していましたよね。
こちらも、第1作に続き日本でも記録的なヒットとなりました。
実は、この物語のモデルとなったのが
今回チャリティーコンサートで来道するアイリス・スティーブンソン先生と
その教え子達のクレンショウ・エリート・クワイヤなのです!
アイリス先生が来るまで、クレンショウの学校は入学者のおよそ半数が卒業できない
というほど荒んでいたそうです。中には、在学中に事件に巻き込まれ命を落としてしまう
生徒も少なくなかったのだとか。
そんな環境にあった生徒たちが、アイリス先生のゴスペルの指導によって
少しずつ未来に希望を持った青年へと変わっていき、今では 入学した生徒の9割近くが
立派に学校を巣立っていくそうです。さらには、街の犯罪率も激減。
功績の大きさが評価され、アイリス先生はロサンゼルス市警察から表彰も受けました。

今回のコンサートは、
アイリス先生とクレンショウ・クワイアの美しく魂のこもったゴスペルを
日本で聴くことができる、滅多にない機会なのです。

3月11日に起こった東日本大震災のニュースに心を痛めたアイリス先生が
「少しでも大好きな日本の役に立ちたい」
と、今回のコンサートを企画。
アイリス先生とクレンショウ・クワイア、また運営を担当する日本のスタッフも
手弁当でこのコンサートを成功させようと頑張っています。
お馴染みの「OH HAPPY DAY」などゴスペルソングを聴けるのはもちろん、
音楽に合わせて足踏みや手拍子で踊る、迫力のステッピングダンスも見もの。
国内でコンサートが行われるのは、今回なんと札幌と釧路の2カ所だけ!
東北から北海道へ避難している人たちも、このコンサートに招待されているそうです。
一緒に素晴らしい歌声を堪能して、日本の復興への気持ちを新たにできたらと思います。

彼らは設立の背景がドラマチックなだけでなく、実力も世界レベル。
世界20カ国以上で、500回以上もの公演を行ったほか、
スティービー・ワンダー、マライヤ・キャリーなど実力派シンガーたちとも共演し、
その力強く伸びやかな歌声は世界に多くのファンがいるほど。
この貴重な機会にみなさんも本場のゴスペルに触れましょう!


≪アイリス・スティーブンソン&クレンショウ・エリート・クワイヤ・ゴスペルコンサート≫

●釧路公演
10月26日(水)
まなぼっと幣舞 大ホール(釧路市幣舞4-28)
開場 18:30  開演 19:00
チケット取り扱い 釧路市市民会館、コーチャンフォー釧路店、まなぼっと幣舞、
         ローソンチケット(Lコード 17298)

●札幌公演
10月28日(金)
札幌市民ホール 大ホール(札幌市中央区北1条西1丁目)
開場 18:00  開演 19:00
チケット取り扱い 大丸プレイガイド、道新プレイガイド、教文プレイガイド、
 ローソンチケット(Lコード 17298)

★チケット料金(両公演とも全席自由)
 前売り 3800円  当日4300円
いずれもお問い合わせは
――― 011-788-9967(グレイン・ミュージック)

(みさと)
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特別な日のコップ
2011.1.28
大変遅くなりましたが、みなさん明けましておめでとうございます。
25日に今年初の、そして記念すべき第40号のHOが発売されましたが、
ご覧いただけたでしょうか?
今回は「こんなお店に行きたかった」と題し
雑貨屋さん、アンティークショップなどの紹介をしています。
いつもは食べ物中心の内容なので、
「今回はひと味違うな…」と思われた方や
今回初めてHOを手に取ってくださった方も多いのではないでしょうか。
ぜひ、率直なご意見をうかがえるとうれしいです。
(→HPのメッセージフォームからどうぞ)

さて、40号P42で紹介したPASTILLE(パスティーユ)さん。
雑貨の看板がレトロ。おとぎの国から飛び出して来たような雰囲気の店です

白い木の壁に囲まれた店内には、カラフルでポップでキュートな
雑貨がいっぱいなのです。
扱っているのは食器から家具、文房具などまで多種類で
レトロ調の新品雑貨、アンティーク、アンティーク家具をアレンジしたオリジナルが
全く違和感なく並び合っています。
しかも、そのディスプレーの仕方がかわいらしくて
店内がキッチン、個室(勉強机やドレッサーなどがある)、ガーデニング用倉庫などに
わかれていて、まるで一軒家のよう。

ここはキッチン。今すぐにでも料理に取りかかれそうなディスプレー

こんなかわいい勉強机なら向かうのが絶対楽しい!
まあ、勉強するかは疑問だけど(笑)

ここはガーデニング倉庫。プランターやシャベル、長靴なんかがそろっています

雑貨が並べられている、と言うより
誰かが生活している家を拝見させてもらっている、という感じです。

取材を進めながらウロウロ店内を歩き回っていると
なんと、私が子どものころに家で使っていたコップを発見!


細長くて、小さな男の子と女の子の絵がモノクロでプリントされたものです。
店には2パターンほどしかありませんでしたが、
記憶が正しければ、我が家には6パターンほどの柄があった気がします。

このコップが、私の記憶に残っていたのは、
かつて我が家の「特別なときコップ」だったからです。
おっちょこちょいの私を筆頭に、食器を割ったり壊わしたりが日常茶飯事だった当時。
コップは特に壊れる率が高かったので、
普段は父が飲み終わったワンカップの容器なんかをコップがわりに使っていました。
よいコップは、いつも子どもの手の届かない食器棚の高いところに置いてあり、
誕生日やクリスマスなど、「特別にジュースが飲めるときにだけ」使える
私(と兄弟)にとってはかなりスペシャルなものでした。
食卓にこのコップが並ぶだけでテンションが上がったものです。

後日、原稿の確認で店主の長谷川さんとやりとりした際に
店の印象を聞かれたので、その話をさせていただき
「かわいいとか、懐かしいだけじゃなく、
幼いころに兄弟と遊んだことや、家族で楽しんだことなど
いろいろ思い出してしみじみしました」とお答えすると
“思い出はずっと心の中に残っているものなので、
そうした記憶や感傷とともに暮らすことは自然でステキなこと”
とお返事をいただいて、またさらにしみじみ。

アンティーク食器のほかにレトロなおもちゃやお弁当箱なんかもありました

「チョコホリック」は、レトロな雰囲気の雑貨を作る長谷川さんもお気に入りのメーカー。メモパッドから食器、カバン、ゴム手袋の果てまで作っています

PASTILLEさんに立ち寄ってみたら、
皆さんも昔の思い出に出会えるかもしれませんよ。

(みさと)
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研究成果、届きました。
2010.12.24
12月15日に発売された
「別冊HO 札幌10区 あなたの街の気になるお店」
みなさんもうご覧いただけたでしょうか?
昨年の第1弾とは、全く異なる100軒が掲載されていますので
ぜひ一度書店などで手に取っていただけると幸いです。

今回の別HOで掲載した「ちょびりこ。ジャム研究所」さん。
その名の通り(?)ジャム屋さんなのですが、作っているのはなんと野菜のジャムです。
野菜大好きなちょびりこ。さんこと菅原さんが、
直売所で買い過ぎた野菜をジャムにしてみたことからこのお店はスタートし、現在は
(詳しくは別HO90ページをご覧ください)
ダイコン、タマネギ、ナスビなんかのジャムが売られています。

長屋の一室が研究室です。このさりげなさ、気になる度数がかなり高いですよね

研究者(?)のちょびりこ。さん。「直売所で買いまくったダイコンを腐らせたら怒られちゃう」と思ったのが野菜ジャムを作り始めるきっかけだった

私も野菜は好きですが、それにしても
「タマネギやナスビのジャムって…」
興味はあるものの、不安も感じつつ一口。
まずは直接舌に甘みがきた後、野菜の香りが鼻からふわりと抜けるように感じられます。
目隠しして食べても「これは○○のジャム」とわかるくらい
きちんと野菜の香りや味が残っています。
おおぉ。これは予想以上においしいぞ。と味の比較をしながら各種類をつまみ食い(笑)。

こちらは2人前から注文できる「食べ比べセット」1人前550円のジャム。これに塩スコーン、ドリンクが付きます。中央がなす&ラズベリー、一番手前(白いジャム)から時計回りに、だいこん&りんご、たまねぎ&ラズベリー、ちょび塩、クリームチーズ、たまねぎ&いちご、なす&ワインです。ちょび塩は店オリジナルのハーブソルト。最初は「ちょっと口直し」のつもりで添えていたが、人気が出たので商品化したそう

ちなみに私好みは、だいこん&りんごです。
煮込んだものとも、生で食べるものとも違うけど
しっかりダイコンの味と香りがして、リンゴの爽やかな風味がよくマッチしています。

さて、この野菜ジャム。
お話をうかがってみると普通にイチゴやリンゴをジャムにするのとは
ちょっと勝手が違うようです。
“煮詰めて砂糖を入れる”という基本的な手順は同じだそうですが
「カットの仕方や煮込み方、火にかける時間によって、かなり味が変わって来るんです」
菅原さんが商品開発をするときはサイズや切り方を変えるなど、
さまざまな“実験”を繰り返して
素材の味が生きつつ、ジャムとしておいしいものを作りだしているそうです。
もちろん、どう工夫してもジャムに向かない野菜もあって、
「ハクサイは失敗しちゃいましたね。
なんか鍋の残りみたいな感じになっちゃって…(笑)」

試行錯誤の上に、現在商品化されているのは5種類。それぞれ40g(下)300円、90g(上)500円

取材中に開発していたはなんとセロリのジャム。
使っているのは、洞爺で採れたセロリとマルメロです。
そこのセロリは、生で食べてもクセが少なく甘みも強かったため、
ぜひジャムにしてみたいと思い開発を始めたそうです。

「食べてみてください」と勧められたのは
完成に近づいてきたという2種類のセロリジャム。
まず1種類目。シャリシャリした食感と共に、
しっかりとした甘みが口の中に広がります。
「あれ? あんまりセロリ感がないなぁ」と思ったのもつかの間
最後に、独特の香りがすーっと鼻から抜けていきました。
「これはシナモン入り。ジャムっぽい感じが強いでしょ」
続いて2種類目は、食べた途端、セロリの香りがふわっと口の中に充満し
あとからすっきりした甘みが楽しめる。
こちらも、シャリシャリとした繊維を感じる食感がセロリらしい。
セロリの爽やかな苦みと香りが大好きな私。
「これ、かなり好みかも。とくにシナモン入ってない方が
独特の味がダイレクトに感じられて私は好きです」
「セロリって嫌いな人も多いでしょ? どれくらいセロリ感を残すのかが難しいなぁと
思って。でも考えてみたら嫌いな人はセロリのジャムなんか買わないよね」
と、菅原さん。うん、確かに。

取材中「いろいろ食べた中で、一番セロリが好き」と連呼した私に
先日、なんと菅原さんから
「セロリ、ほぼ完成しました」とジャムのサンプルを送ってくださいました。
じゃじゃーん。

丁寧なお礼のお手紙と共にサンプルが送られて来ました。便せんはお店のオリジナルのようで、ロゴなどが入っています

原材料をご覧ください! ホントにセロリが入っているのです!

右はシナモン入り、左はシナモンなし。みんなで試食してみました

編集部の女子で試食してみたところ、
一様に「聞いたときはどんな味かと不安だったけど、違和感なくおいしいね」。
ちなみに、シナモン入りを好む人の方が多かったです。
マルメロの香りと甘みがしっかりと感じられるのも特徴で
「フルーティーでおいしい」「さっぱりした甘みがいい」
などなど意見はいろいろでしたが、好評でした。
また、思い切ってセロリ嫌いの人にも食べてもらうと、
「意外とセロリ感が少なくて食べられる」
という意見でしたよ。

パンに塗ったり、ヨーグルトのお供としてだけでなく
生ハムやチーズ、ステーキなどに添えたり
焼き菓子や、ガトーショコラのようなしっかりしたケーキと合わせて食べるのも
おいしいそうです。
中にはお酒のつまみにする方もいらっしゃるとか。食べ方はいろいろなんですね。
ぜひぜひ皆さんもセロリをはじめいろんな野菜ジャムを試してもらえたらと思います。

古い家具などが置かれ、手作りの雑貨で飾られたレトロで温かみのある店内。ワイヤーで作ったモビールや籠、動物ハンコなどちょびりこ。さんの知人たちが作った雑貨は販売もしています

白い壁に影で作られたパリの街。このちょっとした遊びは旦那様のアイデア

(みさと)
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きまり丼=完璧丼?!
2010.11.5
どこを開いても、麺・麺・麺…
という麺好きにはたまらない、HOの最新号『麺喰う旅 第1弾』が発売されました。
みなさんご覧になっていただけたでしょうか?
ラーメン、うどん、そば、パスタまで、麺と名のつくメニューが
てんこもりの一冊で
「麺好きってわけじゃない」という方にもお気に入りの一杯が見つかるのでは
と思っています。

「意外な店の評判ラーメン」のコーナーでは、
ラーメン屋じゃないのに、おいしいラーメンを出す店を集めて紹介しています。
取材した「金太の金太」さんは、焼肉屋だけどラーメンも評判。


↑「金太の金太のホルモンはサイコー」という小樽市民は多いはず

というか、ラーメンだけじゃなく全てのメニューが安くて、おいしい店なのです。
焼肉以外のメニューの多くは、13年前のランチタイムオープンに際して、
素早くできてお腹一杯になる料理を、と開発したものだそう。
「専門じゃないからって言って、まずいもの出したくないし、
味にはこだわり持ってやってるからね」と、店主の大坂紀雄さん。
誌面でもラーメンの味噌味は、完成までに3年かかったと書きましたが
その他のメニューも、食べ歩きを繰り返して構想を練り、
何度も試作して作り上げた味ばかりなのです。

特に、ランチ限定「きまり丼」はこの店のランチメニューの代表選手。
ご飯に、炭火焼きした豚バラ肉と目玉焼き、キムチがのったボリュームたっぷりの丼です。

それにしても「きまり丼」って面白いネーミングだなぁと思い、
命名秘話についてうかがってみると
「実はねぇ、この丼のソースの味が決まるまでに1週間もかかってね。やっと味が定まったときに『よし!これで味は決まりだ!』って思ったから、この名前になったんだよね」。
三つの具とご飯に絡んだとき、甘み・塩味・酸味・辛みがバランスよく味わえるソースというのが本当に難しかったそうです。
調合を微妙に変えながら、さまざまなソースを作り、1週間試食しまくったとか。
「ほんと、きつかったよ〜。毎日毎日同じ丼なんだもん」
当時から店を手伝っていらっしゃったお姉さんと顔を見合せて笑いながら、
開発の苦労を話してくれる姿が、なんだか清々しかったです。

早速いただいてみると、本当にバランスがいい。
見た目はかなり脂っこそうに見えますが、
ソースに酸味が利いているうえ、
豚バラは網焼きしてしっかり脂を落としているので脂臭さがないし、
おまけにキムチの辛みが口の中を爽やかにしてくれます。
そして半熟の卵が全体に絡むと甘みとコクも味わわせてくれる…。
最後まで飽きずに食べることができるのです。
いや、これはおいしかった。ほんと。
その上、安いって完璧じゃないですか!
きまり丼は完璧丼だぁ!!
…なんて、紹介にもついつい熱が入ってしまうくらいのおいしさでした。

学生さんや、体が資本の仕事をしている人など
たくさん食べる人の代名詞のようなお客さんが多いというこの店。
「俺も若いころはよく食ったからね〜。たくさん食べる人の気持ちがわかるのよ」

そんな大坂さんが作る料理は、どれもボリュームたっぷりでおまけにコクと旨みが詰まっています。だけど、くどくない。
おまけに食品添加物はほとんど使用していないし、
本当にみんなの味方というお店なのです。

終始笑顔でお話ししてくださった大坂さん。最後に
「来てくれたお客さんが、しっかり飯食って、
昼からも仕事を頑張ってほしいなって思ってるのよ」
と一言。
食べる人への心遣いや愛情が、味にもボリュームにも値段にも込められているんだなぁと、
つくづく感じた取材になりました。


(みさと)
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芸術家の感性
2010.9.13
HO31号の「匠の手仕事」でご紹介させていただいた
ジュエリーアーティストの船木ゆずかさんの
個展が開催されます。

『SPIRAL ―螺旋―』
  船木ゆずか 作品展2010

 期間:9月8日(水)〜9月19日(日) 10:00〜18:00
    (最終日は〜16:00)
 会場:GALLERY 創(そう)
    (札幌市中央区南9条西6丁目1-36  011-562-7762)



さてさて、
「匠の手仕事」の取材は、普段は目に出来ないような道具や
作品が出来ていく過程を目の当たりにできて面白いです。
もちろん、耳慣れない用語が出てきたり、
複雑な製作過程を短時間ではなかなか理解できないこともあって
「難しいな」と感じることも多々ありますが、
それでも、取材が終わるとなんだか一つ新しい世界を知ったような気になって
(まあ、たいてい気のせいなのですが… 笑)
テンションがあがります。

恥ずかしながら、船木さんを取材することになって、
初めてアートジュエリーという世界の存在をはじめて知った私。
その上、普段装飾品とはあまり縁がないということもあって(残念ながら)、
話題にちゃんとついていけるかどうか、一抹の不安を覚えながらも
一方では、一体どんな作業が見られるのか、どんなお話が聞けるのかと
ワクワクしてアトリエを訪れました。

誌面でも書きましたが、船木さんの作品は植物の模って作るというのが
大きな特徴です。
その植物というのも、枯れてカッサカサになった花の額とか
種がはじけ飛んだ後の殻とか
きらびやかなイメージのあるジュエリーとはかけ離れたものばかり。
ジュエリーとその元になった植物を見せてもらった私は、そのあまりの変身ぶりに
「ええ〜、これが、これになるんですか?」と
目の玉をひんむいて、声が裏返ってしまうほどでした。
私たちが普段愛でている花や葉は、型をとるには軟らかかったり厚さがなさ過ぎたり
と、鋳金という手法には合わないこともあるそうですが、
それにしたって、この地味すぎるほど地味な植物の残骸(?失礼)が
一体どうやって作品になったのか…と思うと不思議ボルテージはマックスに。
「これは? こっちは? なんの植物ですか? どこで見つけたんですか?」
などと興味津々に、そして矢継ぎ早に質問する私に
船木さんは穏やかに、そして とても丁寧に答えてくれました。

「枯れた部分って図鑑を見てもほとんど載っていないんですよ。だから、
これ面白いなって思って作品にしてみても、
原型になった植物の名前がわからないことも多くって」と、船木さん。
そんな(一般的には注目されないような)目立たない植物の形を
ジュエリーにしようと発想する船木さんの感性って、やっぱり普通の人とは違うなぁ
「芸術家」だなぁと深く思った取材になりました。

以来、道端で立ち枯れている花の残骸なんかを見ると
「こういう景色も船木さんの目を通したら、キラキラ輝いた宝みたいに見えるのかも」
と思い、色のない植物でさえもなんだか突然彩り豊かに見えたりするから不思議です。

船木さん曰く「デザイン画は書かずに、模ったパーツを“増殖”させて作る」作品は、
小さなパーツが一つ一つ今もゆっくり増殖し続けているような
そんな力強い印象を受けるものばかりでした。
実際の作品を目にしたらそのエネルギーをしっかり感じる事ができると思います。
お時間のあるかたは、ぜひ個展へ足を運んでみてください。
「装飾品は特に興味ない…」とおっしゃる方も、きっと楽しめると思いますよ。

(みさと)
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