「もう一つの富良野・美瑛」で紹介した ナブの家(P98-99)は、 鳥がたくさんやって来る森の中のカフェです。
店名は、店主の山口さんが大好きな小説の主人公から付けられました。 それは、リチャード・フォードというイギリスの作家が書いた 『銀の森の少年』という物語。 銀の森でアナグマの夫妻に育てられた少年・ナブが、 森の仲間たちと暮らす中で、たくましく育っていくという ファンタジー小説です。 (ちょっと『ジャングルブック』みたいな感じでしょうか?) カフェを取り囲んでいる森を、山口さんはこっそり「銀の森」と呼んでいるらしいです。 店の裏手は清々しい森になっています。小さなツリーハウスがあったり、ブランコがあったり、カフェで一服した後、森の中でぼんやりできる贅沢なお店です
さて、このカフェには真っ白でかわいい「サム」という犬がいます。
実はサムも店名の由来になった小説に出てくる登場人(?)物の名前。 主人公のナブと仲の良い、しっかりもので勇敢な犬です。 「ストーリーの中では、すごく頼りがいのある犬なんだけどね、 うちのサムは全然違うんだよね〜」 と笑う山口さん。
サムは、元気がよくてはつらつとしているけれど お客さんを威嚇しないし、 決して店の中に入って来ることもない。 山口さんの言うことには、きちんと応えるお利口さん。 と私には見えたのですが、 実は、お父さん(山口裕さん)がいなくなると、 突如シューーンとして、この賢い雰囲気が影をひそめてしまうらしいのです。 この写真を見たとき、私の好きな歌の ♪愛されることを知らない、まっすぐな犬になりたい という歌詞が私の頭にポンと浮かんできました。サムの目がホントにまっすぐ
妻の洋子さんいわく 「お父さんが仕事で家を空けるときは、ちゃんと言い聞かせておかないと寂しすぎて食欲はなくなるし、ひどいときは歩けなくなったりするんですよ」
取材が始まり、山口さんに話を聞くために サムはしばらくの間、放っておかれることになりました。 すると、山口さんの見えるところをウロウロ。 じぃっと物欲しそうな目で取材の様子を見つめています。 その気配を察して、山口さんがサムのそばへ寄っていくと 落ち着きなくぴょんぴょんととびはね、 ちぎれんばかりにしっぽをふって、山口さんの膝の上へ乗ろうとします。 その喜びようと言ったら 想い焦がれた恋人にやっと再会できたかのよう (とは、言い過ぎか…)。 さらには、腕や顔をぺろぺろなめて、いかに山口さんが好きか をアピールするサム。 外での取材中はほぼこんな具合。山口さんに夢中で私やカメラマンは全く無視です(笑)
二人(?)のラブラブっぷりを横目で見ながら 「私がいたってダメなのよねぇ、サムは。お父さんじゃないと」 と洋子さんはちょっと寂しそうです。
ほんの1時間ほど放っておかれただけで こんななのだから、数日家を空けたら歩けなくなるっていうのも まんざら大袈裟ではないのかも…。 結局、サムが寂しがるので取材の半分は 店の外で行われることになり その間、私は二人の仲良しぶりを見せつけられたのでした。 もちろん山口さんもサムが大好き。相思相愛の二人なのです
しかし、激しい愛だなぁ。 一度はそんなふうに誰かに想われてみたいもんですよね(笑)。 ナブの家はサムがいるだけじゃなく、気持ちをリラックスさせてくれる リンデンティーや、パンがサクサクのホットサンドが楽しめる、とってもすてきなカフェです。近くを通ってみれば 「気になる」理由もわかるはず。ぜひ足を運んでみてください。 おススメです!
(みさと)
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