>>レポート・17
番台から見つめ続けた この地の昭和、そして平成
山鼻温泉 屯田湯
- 住所
- 札幌市中央区南9条西8丁目
- 電話
- 011・511・3420
- 営業時間
- 13:45〜23:00
- 定休日
- 月曜
- 料金
- 大人420円、小学生140円、未就学児70円
- 山鼻温泉 屯田湯昭和39年の開業以来、地元の憩いの場となっている温泉。素朴な銭 湯情緒の強食塩泉で体がよく温ま り、神経痛や肩こりにも効果がある。
- 平成2年に掘削に成功し、天然温泉を噴出。銭湯情緒があふれ、清潔で明るい浴室はご近所の憩いの場となっている
昭和の銭湯情緒あふれる温泉のれんをくぐると、番台では40余年前から変わらない二木照子さんの笑顔が迎えてくれる。
通ってくる客の多くはご近所の常連。店の前で開店を待ち、決まったげた箱に靴を入れ、決まった洗い場に陣取る。それぞれ場所や流儀が決まっているから時にはケンカだって起こる。「その仲裁がまた…ね(笑)」。時には出入り禁止を言い渡すこともあるが、そんな客もほとぼりの冷めたころになればまた、反省した神妙な面持ちでしおしおと戻って来る。二木さんにとっては、そんな時がなんとも嬉しいのだそうだ。
開業は昭和39年。それまでは石狩新港で農業を営んでいたが、土地が買収され移転を余儀なくされた。その当時はまだ沸かし湯の銭湯で、オイルショックの石油高騰期にはまだ小、中学生だった子供たちに廃材を割らせて燃料にした。休みもなく遊びにも連れていけなかったのに、文句も言わずについてきた子供たち。それに加え、今では孫たちも二木さんを助けて番台に座り、浴室の掃除を手伝う。「家族で助け合えるということが何よりの宝」と二木さんは力を込める。
深夜1時過ぎ。一日働き続けた二木さん最後の仕事はこのお湯に浸かること。強塩性の天然温泉はゆったりと疲れを取り去り、明日の笑顔へと活力を与えてくれる。
※HO 12号&14号より抜粋